相続放棄をする場合被相続人の家にある物の管理はどうするか

文責:所長 弁護士 石井浩一

最終更新日:2022年02月16日

1 被相続人の持ち物を勝手に処分しても良いのか

 相続放棄をして、裁判所に認められると、相続人は最初から相続人ではなかったことになります。

 被相続人が住んでいた場所に残された、被相続人の衣類、家財道具、生活用品、その他いわゆるゴミ等は、どのように扱ったら良いのかお悩みの方も多いのではないのでしょうか。

 被相続人の持ち物を処分しても、相続放棄は認められるのでしょうか。

2 被相続人の持ち物を処分すると相続放棄が認められなくなる可能性が高い

 相続財産を処分すると、法定単純承認事由に該当する行為として、相続放棄が認められなくなる可能性があります。

 それでは、どのようなものが相続放棄をする場合に処分してはいけない相続財産に当たるのでしょうか。

 相続財産の定義を厳格に考えるのであれば、たとえゴミのような財産的価値がないものであっても被相続人の所有物であった以上相続財産と考えることが可能であり、処分ができないものとなりそうです。

3 財産的価値がないものであっても処分してはいけないのか

 財産的価値がないものと考えられそうなものとして、被相続人の衣類、古い家財道具、歯ブラシなどの生活用品、ゴミなどがあります。

 これらは相続しても相続人が使うことはないものでしょうし、むしろ処分に多額の費用がかかる場合もあります。

 このような種類の残置物について、原則として、形見分け程度の処分であれば法定単純承認事由に該当する行為とはならないとされています。

 また、被相続人が賃貸物件に住んでいた場合、大家や管理会社から、次の借り主を探したいので残置物を処分してほしいと連絡があることがあります。

 相続人としては、相続放棄をする予定であっても、賃貸人とトラブルになりたくない、道義上迷惑を掛けたくないという気持ちが働き、残置物を処分したいと考える方も多いと思われます。

 しかしながら、残置物を処分した場合の裁判所の判断が確立していない以上、リスクを最低限に抑える必要があります。

 したがって、相続放棄をするまでは残置物には一切手をつけないか、残置物を処分しなければならない場合に備えて、処分したものに財産的価値がなかったことを説明できる準備をすることが重要になります。

4 財産的価値のあるものの保管方法

 遺品整理をしていると、相続財産の中から、現金や預貯金の通帳、時計・貴金属類など財産的価値のある物が見つかることがあります。

 これらを処分してしまうと、相続放棄が認められなくなる可能性が非常に高まります。

 そのため、相続放棄が完了するまでは、誤って使用、処分をしてしまわないために、自分の財産と区別して保管し、相続放棄が完了した後に、次の順位の相続人か、相続人がいない場合は相続財産管理人に引き渡すと良いでしょう。

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